今年のヴィーガンニュースをまとめました。
2020年はコロナウイルスのパンデミックにより、ますますヴィーガニズムを推し進めることになったと思います。
SNSの発達や、若者の環境問題への意識向上も、その要因の一つだと思います。
それでは、2020年にインパクトのあった世界のヴィーガンニュースをご紹介します。
EUが肉の課税を推進
ステーキの価格を25%引き上げることで、環境への影響を抑制するのに役立つことが研究により判明しました。豚肉と鶏肉は環境への影響が少ないため、課税額は低くなります。
この課税は、今後10年間で段階的に導入される予定です。
環境研究グループCEDelftによって作成されたレポートによると、温室効果ガスの排出、その他の大気汚染と水質汚染、および家畜生産に関連する野生生物の損失のコストを分析した結果、25%の肉の課税が妥当となりました。
この肉の課税により、2030年までにEUで牛肉の消費を67%、豚肉を57%、鶏肉を30%削減できることを示唆しています。
また、排出量を年間1億2000万トン削減するだけでなく、EU加盟国の料金は年間320億ユーロ増加すると見なしています。
Tapp Coalitionは、この約半分は、農家が生産物を肉から遠ざけるのを助けるために与えられるべきであると述べました。
これにより、個々の農家の収入が年間数千ユーロ増加する可能性があります。
残りは、果物や野菜のコストを削減し、貧しい家族を支援し、開発途上国が気候危機に対処するのを助けるために使用されるべきとされています。
また、ドイツの国会議員は、より高い食肉税を望んでいます。
https://www.theguardian.com/environment/2020/feb/04/eu-meat-tax-climate-emergency
ニュージーランドの学校で肉と乳製品を食べないよう注意喚起する教育カリキュラムが開始
ニュージーランドは、乳製品や肉を消費しないように学習者にアドバイスする新しい気候変動カリキュラムを学校に導入しました。
政府が2050年までにカーボンニュートラルになるという国の目標を達成するために炭素排出量の削減を推進したためです。
という事実はすでに明らかにされています。
もちろん、この教育カリキュラムはニュージーランドの農業コミュニティから強く批判されています。
農産物が国の輸出の60%を占めているからです。
輸出に関しては、ニュージーランドの乳製品と肉製品の需要は、特に中国の消費者から、過去10年間で急増しました。
ポールマッカートニーがUKの学校給食に肉が必須であることに異議
ポールマッカートニーと娘のステラは、イギリス学校給食で「肉・魚・乳製品」が義務化されていることに対して規格を見直すように、教育大臣への手紙に署名しました。
二人は「ミートフリーマンデー」の創立者です。
肉を食べなければいけない人はいない。だから給食で肉の提供が必須であるべきではない。地球や動物、健康な食事の推進のためにも、給食規格を見直す時がきた。
ポール・マッカートニー
時代遅れの規格を見直すための同キャンペーンを率いるPETAによると、イギリス人の子供の70%が「ヴィーガン給食が欲しい」と答えています。
アメリカのポートランドでは、ヴィーガンランチのオプションがある学校が増加しています。
Friends of the Earthによると、メイン州からカリフォルニア州までの学区(ニューベッドフォード、マサチューセッツ州ベッドフォード、フロリダ州リー群、カリフォルニア州オークランド、ワシントン州 DC、コロラド州ボールダーバレーを含む)では、ヴィーガンランチの提供を開始しました。
カリフォルニア州では、州全体の学区に300万ドルを提供して、プラントベースの昼食オプションを含める法案が議会を通過しましたが、今年は、牛肉業界からの金銭と反対意見で取り上げられました。
https://www.pewtrusts.org/en/research-and-analysis/blogs/stateline/2019/09/30/vegan-school-lunches-expand-despite-opposition-from-meat-industry
ロンドンのエンフィールド区、行事で菜食以外は禁止
イギリスでは自治体の取り組みとして初めて、ヴィーガン・ベジタリアン以外の食事がイベントにおいて禁止されました。
これは、気候変動と戦うためです。
地域レベルでも、国レベルでも、そして地球レベルでも気候危機に対するアクションをするべき。区が10年以内にカーボン・ニュートラルになるためには大胆で時には不人気のアクションをとる必要がある。
エンフィールド区の副代表 イアン・バーンズ(Ian Barnes)
気候変動対策として、肉の禁止はシンプルで効果のある方法です。
他の区や公的機関もエンフィールド区に続くことになるでしょう。
すでに、ロンドンの一部の病院や介護施設ではヴィーガン食が選択できるようになっています。
オックスフォード大学やロンドン大学では肉が禁止されました。
また、アメリカ内最古の病院、ニューヨークにあるベルビュー病院(海外ドラマ『ニューアムステルダム 医師たちのカルテ』のモデル病院)では、新しいスタイルの治療が利用されています。
2018年より、ベルビュー病院では慢性的な健康問題を持つ人々を助けるためにビーガン食を推進しています。
https://www.standard.co.uk/news/london/enfield-council-meat-ban-climate-change-a4510651.html
https://foodfacts.jp/2019/05/09/nyc-hospital-using-vegan-diets-to-help-people-with-chronic-health-problems-3/
各国の政府の食事指針が地球に有害と判明
史上最も広範囲に渡って行われた各国の食事指針に関する研究によると、「世界中の公式の食事指針は環境と人々の健康の両方に有害である」ということが判明しました。
調査された85か国のうち2つの国(インドネシアとシエラレオーネ)のガイドラインのみが、健康・気候危機・環境汚染などの国家目標レベルに合った指針でした。
74か国がパリ協定の結果に見合わないガイドラインを設けていました。
これによって、温室効果ガス排出量の大幅な削減につながり、心臓病、脳卒中、癌、糖尿病などの病気による早期死亡数を減らすことが期待されています。
プラネタリー・ヘルス・ダイエットに従うことで
2030年までに1900万のヴィーガン食生産に関する雇用の拡大
国際労働機関と米州開発銀行の共同調査によると、「脱炭素化やネットゼロエミッション経済への移行をすれば、2030年までに中南米とカリブに2250万の雇用が創出する」ことが判明しました。
畜産業、酪農業、漁業など430万の仕事が失われるが、現状より1500万も多くの仕事が創出されると言われています。
そして、温室効果ガスの排出も大幅に低下することが期待されます。
果物や野菜の生産への移行は、農家にとって大きなチャンスになるだけでなく、住民にとってもより健康な食事を供給できます。
持続可能な農業とヴィーガン食への移行によって、住民の健康を向上しつつ温室効果ガス排出量を下げ、社会経済や環境にも利点がある政策をつくる際の参考になるでしょう。
肉食文化のブラジルで菜食者が急増
ブラジルは肉食文化で有名です。 しかし、ベジタリアン人口は急増しています。
調査会社であるIbopeの世論調査によると、ブラジルのベジタリアン人口は6年間で倍増し、プラントベースの産業を生み出しました。
2018年には、3,000万人、つまりブラジル人の14%がベジタリアンまたはヴィーガンであると報告しました。
世界最大の牛肉輸出国であるこの国は、ヴィーガン食への劇的な変化を起こしました。
全国のいくつかの公立学校は、通常、週に1日、肉をなくすことによって、動物由来のタンパク質を20パーセント削減しています。
Mercy for Animalsは、プラントベース食に関心のある学区や企業を参加させることに大きな成功を収めています。
https://www.nytimes.com/2020/12/26/world/americas/brazil-vegetarian.html?searchResultPosition=1
最後に
アメリカのエコノミスト誌により、「2019年はヴィーガンの年」と言われていましたが、2020年も引き続きヴィーガ二ズムが盛り上がりを見せました。
それは、将来を担うミレニアム世代の環境危機感や、最新の栄養学によって、ヴィーガンの必要性が明るみに出たからでしょう。
2020年はコロナウイルスによって人々のライフスタイルや価値観が大きく変わったかと思います。
今まで普通であったことが制限され、普通ではなくなりました。
以前の大量生産・大量消費は魅力を失い、地球や自分自身に目を向けてる人たちが多くなったと感じます。
コロナによって変わった私たちの生活を、今後も続けていくためには何が必要で何が大切なのか、考える時がきました。
地球・動物・人間にとって、来年も優しい選択や行動が広まることを願います。
それではよい年越しを。
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