Hi, ヴィーガンジャパンのミクジェンヌです。
『ヴィーガンレザー』という言葉はご存じですか?
『ヴィーガンレザー』とは、動物の皮を使用していない革製品のことです。
ヴィーガンレザーのほとんどはポリ塩化ビニル(PVC)です。
しかし、PVCは分解して毒素を放出するのに何年もかかります。
そして、そのプラスチックは環境にも私たち人間や動物にとってもよくありません。
それに対し、ポリウレタン(PU)は生分解性の素材であり、地球への害が少なくなっています。
100%化石燃料で作られた合成皮革と比較してCO2の影響が大幅に削減されます。
長年、ヴィーガンレザーは、PVC や PUで作られていました。
しかし、ここ10年の開発により、パイナップルの葉、リンゴの皮、その他の果物の廃棄物、コルクなどでヴィーガンレザーを作ることができるようになりました。
これらの新しい素材は、ファッションの環境への影響を減らすだけでなく、食品廃棄物の削減にも貢献しています。
- ヴィーガンレザーって何?
- 合成皮革はヴィーガンにとっていいの?
- バイオ由来のポリマーレザーって何?
- アップルレザー?パイナップルレザー?
合成皮革とは?
合成皮革とは、いわゆるフェイクレザーのことを指すため、『ヴィーガンレザー』と同義語になります。
しかし、その素材は様々です。
では、それらはどのように作られ、どうして環境に優しいのでしょうか?
PVCレザー
PVC(ポリ塩化ビニル)は、塩と油に由来する材料で低価格です。
塩水の電気分解により塩素が生成され、エチレンと結合します (石油由来)。
PVC は、『地球上で生産される最も有毒なプラスチックの 1 つ』と言われています。
カドミウム、水銀、塩素、鉛、ダイオキシンなども放出するからです。
ダイオキシンは、残留性有機汚染物質(POPs)とされている環境汚染物質です。
ホルモンや生殖器官、発達機能、および免疫システムに問題を引き起こし、癌を招く可能性があります。
また、ダイオキシンは、環境中に何年も留まる可能性があります。
さらに、PVC への添加剤の中には、消費者にとって有毒なものもあります。
意識の高いファッションブランドは、もはや PVC を使用していません。
しかし、この素材は安価であるため、まだ使用している企業が多くあります。
『ステラ・マッカートニー』は、2010年にすべての PVC の使用をやめ、変革の第一人者となりました。
以下の記事で『ステラ・マッカートニー のヴィーガンレザーの商品』をご紹介しているので、ご興味ありましたらご覧ください。
PUレザー
PU(ポリウレタン)の本質はプラスチックです。
100%合成 PU レザーは、石油由来のポリマーであり、ヴィーガンレザーです。
ただし、PU は動物性素材と混合することができるので、注意が必要です。
PU には便利な性質があり、その特徴と構造は動物の革に似ています。
手触りは柔らかく、水を吸収せず、傷に強く、通気性があります。
その耐久性を活かして、植物由来である『ヴィーガンレザー』のコーティングに使用されます。
なお、PUはPVCと違い、使用時や廃棄時に有害物質やダイオキシンを放出しないため、より環境に配慮した素材といえます。
ほとんどの場合、PU は依然として溶剤ベースで製造されています。
しかし、環境負荷の少ない水性のPUレザーを、多くのメーカーが採用しようとしています。
H&Mなどの大手ファッション企業は、溶剤ベースの PU を完全に廃止することに取り組んでいます。
バイオ由来のポリマーとは?
バイオ由来のポリマーとは、一部が有機成分でできた素材です。
近年の環境意識向上により、その素材は多種多様となりました。
コーンレザー、アップルレザー、サボテンレザーなどがバイオベースとして使用されます。
アップルレザー
食品業界からの廃棄物であるリンゴのくずを使用して作られます。
リンゴをピューレにし、水分がほとんどなくなるまで脱水します。
乾燥されたピューレは柔軟な革のようなシートとなり、耐久性効果のための PU と組み合わされて作成されます。
パイナップルレザー
パイナップルレザーはPinatex(ピニャテックス)と言われ、パイナップル繊維から作られます。
基本的にパイナップル繊維のみで作成できます。
ただし、ファッション界で一般的に使用されているのは、PU にてコーティングを施したPinatexで、耐水性と耐久性があります。
サボテンレザー
ヴィーガンレザーのうち比較的新しい素材であり、サボテンの乾燥した葉で作られます。
メキシコを拠点とする創設者であるDesserto Pelleにより広まりました。
水性 PU と混合され、綿または綿/ポリエステルにより表面が形成されます。
マンゴーレザー
アップルレザーと同様に、食品業界からの果物廃棄物を利用して作られます。
Fruitleather Rotterdam がマンゴーレザーを扱っています。
素材はそのままでは防水ではないため、製造後にワックスコーティングをする必要があります。
グレープレザー
Global Change Award を受賞した VEGEA は、高レベルの持続可能・植物由来・リサイクルされた原材料を特徴とするヴィーガンレザーです。
この革新的な素材は、石油由来および動物由来の材料に代わる100%プラントベースの素材です。
VEGEA はイタリアで作られており、ファッション業界でも『100% リサイクル可能なヴィーガンレザー』としてプロジェクトの一環となっています。
コルクレザー
コルクの木から収穫されます。
作成の過程において、市場では『最も介入の少ない植物由来の材料の 1 つ』と言われています。
コルクの木の樹皮は剥ぎ取られた後に再生し、約9~10年で再び収穫できます。
キノコレザー
ボルト・スレッド(Bolt Threads) によるMylo はキノコ由来のヴィーガンレザーです。
キノコの根の構造を利用して、真菌の栄養部分である菌糸体から菌糸体細胞が開発されました。
菌糸体は、ほぼすべての種類の農業廃棄物で増殖できます。
しなやかで生分解性のあるヴィーガンレザーです。
汚染物質を使用せずに製造・処理できるため、持続可能性に優れています。
また、非常に軽量で柔軟性もあるので、幅広い製品に使用できます。
素材が完全に生分解性であるため、使用後、最終的には肥料として堆肥化できます。
そのため、ヴィーガンレザーの市場では、『最も有望なタイプの1つ』と言われています。
コーンレザー
非食品グレードのトウモロコシが原料です。
トウモロコシから抽出されたオイルを使用し、PU と組み合わせます。
このヴィーガンレザーは耐久性が高いことが特徴です。
「実験室で栽培される」第三世代のクリーンレザー
実験室から作られるヴィーガンレザーは『第三世代』と言われています。
Modern Meadowのチームは、バイオテクノロジーをレザー作りに用いることに成功しました。
実験室で栽培されたタンパク質を使用して、バイオ由来のポリマーと合成します。
実験室で分子レベルから始めることにより、最終製品の特性をより容易に操作できることが特徴です。
完全なバイオ由来により、持続可能な生態系との協調的な関係に貢献しています。
最後に
『ヴィーガンレザーの種類』のご紹介はいかがでしたか?
今の時代は、バイオテクノロジーの技術開発により、様々な選択肢が増えました。
食事だけでなくファッションにおいてもヴィーガン商品を選択することは、動物や地球、その環境を回り巡ってしいては私たちにも、結果的にその恩恵が返ってくることになります。
ヴィーガンレザーは素材だけでなく、そのデザインも様々です。
以下の記事でご紹介しているので、ご興味がある方はそちらをご覧ください。
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